寄宿舎基準にリノベーション。人居者の安全面に配慮
「寄宿舎」基準にリノベーション。
人居者の安全面に配慮
元々賃貸マンンョシオーナーだった
奥村氏。2005年、木造2階建ての
実家を相続したことから、シェアハウ
スヘの転用を計画した。「賃貸住宅の
空室率が高くなっている中で、せっか
くならば今までにない物件をやってみ
たいと考えました」(奥村氏)。しかし、
当時名古屋ではシェアハウス市場は未
開。成功は難しいといわれていた。そ
こで同氏はシェアハウス事業につい
て、専門家のセミナーを聴講したり、
先進事業者の取り組みを学ぶなど、約
3年間勉強し、11年7月に「シェアハ
ウス桜山DIFLAT1」(名古屋市瑞
穂区)をオープン。反響についての不
安をよそに、ウェブ告知だけですぐに
人居者が決まった。以来、満室状態が
続いている。
同物件は「ウィークデーはシェアハ
ウスから通勤し、週末は実家に帰る」
(同氏)といった、マルチハビテーシ
ョンスタイル派にうけているという。
同氏は「会社と家の往復ではなく、コ
ミュニティを通じて、新たな人脈をつ
くり自分を高めたいと考えて人居する
人が多い」と話す。
同氏がシェアハウス事業に乗り出す
際に、まず意識したのは安全面。13年
9月に国土交通省がシェアハウスにつ
いて「建築基準法上の寄宿舎に該当す
る」と通知し、市場に衝撃が走ったが、
同氏は当時から役所と相談しながら、
「寄宿舎」基準に改装していた。防火
壁や屋根までの界壁、避難経路を示す
誘導灯の設置などを行ない、人居者が
安心して暮らせるよう配慮した。
1階をすべて共用部に。
人居者が楽しめる空間を
同物件の最人の特徴は、人が集まる
ことを意識して設けた、1階部分の
77.76㎡の「共用部」。窓側のダイニング
スペースを1段低い土間スペー
スとして、さまざまな用途で使える空
間にしている他、ダイニングから出ら
れる庭にはウッドデッキを設け、アウ
トドアリビシグとしての使用も可能に
した。そのほか、ヨガやストレッチな
どができる畳スペース、創作活動や展
示が可能なアトリエスペースなど、趣
味を生かせる空間も設けている。
また、奥村氏や共同運営者の娘さん
が頻繁に足を運び、コミュニテイ醸成
のサポートを行なうなどソフト面も充
実させている。
同氏はその後、近隣エリアで4物件
のシェアハウスの運営をスタートした
が、それぞれの物件の入居者間交流に
も力を入れている。ある物件のリビン
グに5物件の入居者が集合して、食事
会をすることなどもよくあるという。
「卒業生も遊びに来たり、近所に物件
を借りたりと交流範囲が広がっていま
す。今後もさらなる工夫をこらして入
居者が長く快適に暮らせる物件づくり
をしていきたい」(同氏)。