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2.5層の共有部を配したシェアハウス

2016-04-10

立体的につながる交流空間:極める住宅。
日経アーキテクチャー(日経BP社)

都市部の若い世代を中心に居住が広がっているシェアハウス。吹き抜けを
含む2.5層の空間を共用部に充てて、住み手の交流の場を充実させた。ス
キップフロアも取り入れて空間に変化をつけた。

シェアハウスLT城西 D-FLAT04

シェアハウスLT城西 D-FLAT04

建て主は土地の活用に当たって、ほかの賃貸集合住宅との差異化を
図るため、シェアハウスを建てたいと考えていた。そこで、シェア
ハウスの設計提案や研究を行っている成瀬・猪熊建築設計事務所(東
京都杉並区)に相談した。
 一般にシェアハウスは既存の宿舎などを改修したヶ-スが多く、
プランニングが平面的になりがち。このプロジェクトでは新築のメリッ
トを生かして、立体的な空間構成を工夫した。縦方向にも広がりと
つながりを持たせた空間にして、シェアハウスに欠かせない共用部
の魅力を高めている。同事務所の猪熊純代表と成瀬友梨代表は、「立
体的な配置で、個室ごとに共用部との距離感を変えた」と説明する。
 建物は木造2階建て(写真1)。
中心の共用部を13の個室が囲む。2階の床を部分的に半層分下げて中
2階とし、1階と中2階の共用空間を緩やかにつなげることで、多様
な居場所を生み出している(写真

シェアハウスLT城西 D-FLAT04

シェアハウスLT城西 D-FLAT04

2)半層分の空間は一部、個室にも展開。 13室のうち2室を1.5層と
した。 1.5層室を選んだ女性は「天井の高い個室が決め手になった。
入居してみると共用部が快適で、寝る時以外はほとんどの時間を共
用部で過ごす」と話す(写真3)。
 共用部はオープンであるものの、個室のプライバシーには配慮。各
個室の入り口を奥まった位置にして、扉を開けた際に共用部から個
室内を見えにくくした(写真4)。

空間を妨げない梁

 空間に広がりを持たせるために梁の掛け方も工夫した。柱や壁は
3640㎜四方のグリッドに沿って配置。グリッドごとに小梁を架ける
向きを調整し(図1)、大梁の長期たわみを制御。梁せいを210㎜に
そろえることができた。構造を担当した坪井宏嗣構造設計事務所(東
京都渋谷区)の坪井宏嗣代表は「小梁の向きを変えなければ、部分的
に300㎜超の梁が空間に出ていただろう」と話す。

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