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シェアハウス滝子

いつもは一人、ときどき一緒に

2017-03-01

シェアハウス滝子.

だから、集まって

歳の近い家族みたい
シェアすることで、仲間を増やす
自立しながら助け合う
シェルターとして、つどいの場として

いつもは一人
ときどき いっしょに

なごや発!等身大の暮らし提案誌。

なごや発!等身大の暮らし提案誌。

このわずか数年で、名古屋でもシェアハウスが次々と誕生している。
なかでも人気が高く、常に満室状況なのが、「 D-FLAT NAGOYA 」だ。
オーナーの奥村秀喜さんは、空き家になっていた自宅の活用を探り、
3、4年かけて各地のシェアハウスを視察、先進地区の東京にも出かけ、
事業者に相談を持ちかけていた。
しかし「名古屋にシェアハウスがないのは、需要がないからだよ」と破談したのを機に、
自らが運営者となることを決意。

「話が通じた」という名古屋のデザイナー集団「エイトデザイン」と組んで、
09年に女性限定の「シェアハウス桜山」を誕生させた。
手応えを感じた奥村さん、今度は「築年数が経っていて、困っているような建物」を探し、
鉄骨造4階建てのビルと出合う。

「何をしてもいい」という条件で借り、2階から4階をリノベーション、8人定員のシェアハウス
に再生させた。モれが12年8月に完成した「シェアハウス 滝子」だ。

「住人選び」が成功の鍵

「今週の日直Ayaya「手作りキムチ食べてネ—> おいしい!!」
「べ夕べ夕冬うた mix! スノボに行くとき流したよ!」

LDKの一面にある大きな黒板は、住人たちの伝言やつぶやきでいっぱいだ。

等身大の暮らし提案誌、すみか「棲」

等身大の暮らし提案誌、すみか「棲」

現在、住人は20代、30代の男性4人に女性3人。
シェアハウス、というと、いつもみんなでわいわいしているイメージだが、
実際はみんな忙しい社会人。
ひとつ屋根の下に住んでいるとはいえ、平日はほとんど顔を合わせることがない。
だからこそ、黒板にある手書きの言葉は、「いっしょに住んでいる」ことを実感でき、
気持ちも明るくなってうれしい。

取材で訪れたある週末の朝、仕事が休みの住人たちが、リビングでくつろいでいた。
みんなで朝ごはんを食べたり、誰かがお茶をいれれば、誰かが食器を洗ったり。
常に笑い声が絶えず、みんなで行った旅行の精算のときでさえ、楽しそうだ。
家賃は近隣の築10年のワソルームマソション並みで、4万3千円から6万2千円まで、
プラス共益費が1万円。
広々としたリビングに使い勝手の良いキッチン、
おしゃれなインテリアと共用部は充実しているが、
やはり家賃は安くはない。

「いきなりの一人暮らしは不安」

「会社と家の往復だけじゃつまらなど「誰かといっしょに住むって楽しそう」。

スマホ片手に、いつも誰かとつながっているような若者たち、
けれども実のところはもっとアナログな人付き合いを求めているということか。

奥村さんは言う。「シェアハウスがうまくいくかどうか、すべては住人次第」。
だから入居審査はとってもシビアだ。
協調性がありそうか、いろいろな人間関係を築く意欲があるか、
高感度のアンテナを持っているか、そして、「僕と話をして盛り上がるか」。
入居してから半年ほどなのに、全体としてまとまりがあり、
和気あいあいとした朗らかな雰囲気。
共用部分の清掃は業者に依頼したり、友人を招くときは事前にみんなに知らせるなど、
トラブルが起きないようにルールもあるけれど、
やはり奥村さんの人選がシェアハウス滝子の土台になっているのだろう。

毎日が、生活が、変化する 

住人の一人、Makunこと伊藤正樹さんは、家電メーカーの営業マン。
入居を希望した理由は、少し変わっている。「プラハに旅行したときに、初めてシェアハウスと出合ったんです。
古い5階建ての建物をいろいろなアーティストがフロアごとにシェアしていて、『かっこいいなあ』つて感動して。
それでいつかは自分もシェアハウスをつくりたいと、滝子に入居しながら奥村さんのノウハウを盗んでいるんです」

なごや発!等身大の暮らし提案誌。

なごや発!等身大の暮らし提案誌。

その夢は、意外にも早く実現した。
異業種交流会で不動産業を営む本渡孝一さんが、伊藤さんにプロポーズ。
「彼は若いのに勉強熱心で、やる気もあるし、ぜひ、いっしょにシェアハウスをつくりたかった」。
「将来、独立できたら」という伊藤さん、休日にはあちこちのシェアハウスを視察したり、
仕事から帰宅後も深夜までデスクに向かい、名古屋市内にあるシェアハウスの面積や家賃などのデータを解析したりと、
独自に研究を重ねてきた。
そして二人が出会ってわずか一年足らずの今年2月、
名古屋市北区に「SHAREHOUSE180.黒川」が完成。
名前には「毎日が180度変わる」という思いを込めた。
「滝子に住むようになってからは早く家に帰るようになりました。シェアハウスにいるのが楽しくって」と伊藤さん。
自身の体験から「生活が変化するシェアハウスはおもしろいょ」と呼びかける。

厳しい人居審査今ルールづくりなどでは奥村式を取り人れたが、
伊藤さんならではの新しいことにもチャレンジした。

たとえば、合体の間取り。建物は4階建てで合5室。キッチン、
トイレ、バス付きの個室もあり、公私の境界がょりはっきりしている。
またカップルが人居できる個室もあるため、
シェアハウス ならではの「集まる」がどうなるか楽しみだ。
伊藤さんは、
「シェアハウスつて、『楽しい』を来める
エンターテイメント、だと思うんです。
だから、物件のよさと、人のよさが、鍵」と、
運営に意気込んでいる。

「いってらっしやい、おかえりなさい」

奥村さんの次女、史保里さんは、管理人兼住人としてシェワハウス滝子に3ヵ月間住んだ。
「一人暮らしの気分も味わえるけど、『いってらっしゃい、おかえりなさい』が言い合えるっていいなって思いました。
すっぴん、パジャマ姿を見せても平気だから、友だちって感じじ今ないし。
血のつながった来族ほどの深い関係でもないけれど、
歳の近い来族、なのかな」

私自身、人学進学で上京し、人生初の一人暮らしの初めての夜、殺風景な6畳のワンルームにたった一人。
あまりに寂しくて、思わず近くのコンビニに駆け込んだ。
まもなく私の部屋の真上に、マキが越して来た。同じく地方出身で、偶然にも同じ学部の一年生。
お互いに部屋を行き来し、ときどきいっしょにごはんを合べたり、いろいろな話をした。
就職活動で落ち込んだときには、ただ隣にいてくれた。
そんな4年間の日常を共有したから、お互い故郷に帰った合も交流が続いているのだと思う。
結婚しない若者も増えているけれど、一人で暮らすって、実は人間にとって不自然で不安定なことではないだろうか。
かつては、向こう三軒両隣、と言った。それが今風には、シェアハウス、なのかな。誰かと何かを共有する、
その楽しさと豊かさを、みんなが再び認めはじめている。

発行所:自由空間
編集部:活字の浅野屋
文:浅野未紗子
写真:松原豊
なごや発!等身大の暮らし提案誌。

sumika


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